発声の為の腹式呼吸の方法を知りたい方へ。

現在、独学でボイトレをしていて、腹式呼吸という
言葉は聞いたことあるけど、実際やってみたらなんかあっているのかよくわからない。

本記事では下記の内容を解説します。

この記事を書いている僕は、ボイトレ歴15年、
ボイストレーナー歴は3年、現在年間700以上のレッスンを行なっているので、記事の信頼性担保に繋がると思います。

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目次

腹式呼吸の仕組み

まず、身体の中でどんな事が起きているのか、イメージしやすいように腹式呼吸の仕組みを理解しておきましょう。

仕組み

横隔膜が下がって、肺に空気が取り込まれます。
その時に、上から押された内臓が動いてお腹が膨らみます。

呼吸筋の働き

呼吸筋とは、読んで字のごとくですが呼吸をするために使う筋肉のことです。
肺は自分で膨らんだりしぼんだりができないので、筋肉が働くことになるんですね。
呼吸筋と一言にっても、何種類もあります。
ボイトレをしていてよく名前を聞くものだと、上にも書きましたが横隔膜、とか腹横筋とかですね。
とくにこの横隔膜は、寝ている間も休みなく働いている、とても大事な筋肉の一つです。
呼吸筋には、息を吐く時に働く筋肉と吸う時に働く筋肉があります。
横隔膜は、吸う時に主に使われて、腹横筋などの腹筋は、吐く時に使われるといった感じです。

腹横筋というのは、インナーマッスルで、腹筋の一番内側の筋肉です。
息をハァァァァァァッと吐き切ると、お腹の内側が疲れるのがわかると思いますが、それが腹横筋です。
画像の一番右側、深層部に腹巻のような形でお腹を支えている筋肉です。
ここを鍛えると、安定したブレスの獲得だけではなく、体幹の強化、正しい姿勢、お腹周りのダイエットにも効果的です。

腹式呼吸は特別な呼吸法ではない

前提として、腹式呼吸は特別な技術などではないということ。生まれた時から自然に何千回も繰り返されてきている、すでに体験しているものだということをわかっておいてください。ボイストレーニングではこれを歌を歌う為に意識的にコントロールするのが目的です。
理由は、声の材料は息だからです。息をコントロールできなければ、思い通りの声を出すことはできません。力を入れなくていい筋肉と、しっかりと使うべき筋肉を知ること。その為に、仕組みを理解しておく事が大切です。

歌のための腹式呼吸の練習方法

では、次にエクササイズについて。
ボイストレーニグでは、ほぼどの練習にも共通して言えることですが、毎日意識的に行うことで体が運動として覚えていきます。

ぼくも新しい事を習慣化するのはとても苦手なタイプだったので、わかりますが、最初の1週間が勝負だと思います。
7日続けば、もったいなくてやめられなくなります。あと、もし、途中でできなかった日があっても、次の日から始めてください。
余裕でコンテニューできます。自分で自分をコントロールできるようになると、大げさじゃなく少しずつ人生が変わってきます。
ボイトレで人生変わるならやってみるのも悪くないだろうと、始めてみませんか。
休みの日にまとめてやろうではなく、毎日の生活のなかに、最初は数分間からでもいいので毎日行えるように組み込んでいきましょう。

1.真っ直ぐ立ち、ヘソのあたりに手のひらを当てて自然に呼吸をする

その時に肩や胸が上に動かないように、首に力が入らないように注意します。
置いた手のひらが背中側←→お腹側と動いていますか?
もし全く動いていないなら、上半身に無駄な力が入っているのでリラックスしてやり直してください。
しっかり手の動きを確認できたら、次です。

お腹が膨らんだ時に横隔膜は下がり、肺に空気を取り込んでいます。お腹がヘコんだ時に横隔膜は元の位置に戻っていき、肺を押し出して空気(息)が出て行きます。

2.息を吸った時の背中を意識する

お腹に置いてある手と反対の手を腰のあたりに置きます。
息を吸った時に背中側の手も同じように膨らむのを感じられるように呼吸をします。
そうすると、呼吸をするごとに、身体の重心が下がるのがわかると思います。
横隔膜がしっかりと動いて、肋骨が十分に広がり、肺にたっぷり空気が取り込まれていきます。

この、重心を下げるというのかとても大切です。
そして息を吐く時も、その低い重心を保ったままヘソのあたりから息を出すようなイメージです。
息を吐く時も同じように、上半身はなるべくリラックスです。

3.しっかりとイメージを持って行う

意識を体の使い方にもっていってもどうしても、うまくできていないと感じる人は、次のようなイメージを持ってやってみてください。

・吐く息が自分の背骨の中を通って首の後ろを通って、後頭部を通って、頭のてっぺんからおでこを伝って口から出て行く
・しっかりと息を吐き切ると、出て行ったのと同じ通り道を一瞬で息が戻ってくる

物理的にはありえないので、文章だけ読んだら意味わかりませんが、しっかりイメージしながら呼吸を行うことができれば、腹横筋をはじめとする呼吸筋の動きと、自分の口から出て行く息が連動していくのを感じられるはずです。
この時に、実際には声は出しませんが、声を出している時を想像しながらするとさらに効果的です。

エクササイズはこれだけです。
信じられないくらいシンプルですが、これをどれくらい丁寧にできるかで声が大きく変わってきます。
究極の呼吸を手に入れようというくらいの気持ちで毎日繰り返して下さい。
息を吐き出す瞬間から、吐ききって、吸い込む瞬間、一つ一つの自分の体に集中して行ってみてください。

ありがちな間違い

息を吸うときに肩が上がる・首に力が入る・鎖骨が上がる

よくあるパターンです。この時は横隔膜が、しっかりと動いていないので胸郭は下に広がりきれません。
呼吸が浅くなります。特に最初のうちは、無意識に肩や胸が上がりやすいので、気をつけながら行ってください。
喉を痛める声の出し方に繋がりやすいので、呼吸の練習の時に癖を取ってしまいましょう。

背中(背筋)が使えていない

息を吸う時の支えがないので、特に高音発声時に、首の筋肉など、使わなくてもいい筋肉に頼ってしまうことが多いです。
腹筋だけではなく、背筋もしっかりと使って深い呼吸を心がけてください。

息を吐く時に首や喉の筋肉に力が入る

息をしっかりと吐き切るというと、首や下顎の力を使って最後の最後まで絞り出そうとする生徒さんがたまにいます。
しっかり吐き切るというのは、お腹(呼吸筋)と連動した息がなくなるまでという意味なので、首や喉、下顎は出来るだけリラックスしていてください。
舌根の力みなどに繋がり、喉声の原因になります。
エクササイズ3.のイメージを持って行うと、首や口周りには余計な力は入りにくいかと思います。

よくある質問

1.呼吸しながらお腹が動けばいいんですか?

お腹が動くのは、横隔膜が下がって肺に空気が取り込まれて、内臓が動くからです。
つまり、腹式呼吸の結果、お腹が動くのであって、とりぜずお腹が動けばオーケーではないです。

2.なんで腹式呼吸が必要なんですか?

人間は腹式呼吸の他に、胸式呼吸という呼吸運動をしています。比べると、胸式呼吸の方が取り込める息の量が少なく、呼吸が浅くなります。なので安定した声を獲得するのが難しいということ、息を吸う時に首や喉の筋肉に力が入りやすいので声の豊かな響きを得にくいということ、息のコントロールがしにくいことなどが理由で、腹式呼吸、腹式発声をオススメしています。

3.腹筋を鍛えたほうがいいですか?

鍛えるならアウターマッスルよりインナーマッスルがいいです。上の呼吸筋の働きの画像の通り、腹筋は何層かになっていて、主に一番深層部にある腹横筋という筋肉が息を吐くという運動をサポートしています。腹斜筋、腹直筋といったアウターマッスルももちろん働いてはいますが、ガチガチに鍛えようと思うとお腹全体の力みに繋がることが多いように感じます。
オススメのトレーニング法は、ドローインという方法です。

ドローイン
1.息を吐きながら、お腹を目一杯ヘコませます
2.息を吸う時、さらにお腹をヘコませます
3.これを繰り返します
※呼吸は止めないように自然に続けてください

どこでもできるトレーニングなので、思い出した時にやってみてください。
ヨガとかでも使われる呼吸法ですね。
ちゃんとやると結構お腹にききます。

4.お腹に空気を入れるんですか?

空気は、肺に入ります。イメージとしては、お腹にたっぷり息をためるように吸うっていうのはアリだと思いますが、ホントにお腹に空気が入ったら死んじゃいますので気をつけてください。

まとめ

・横隔膜・腹横筋などの呼吸筋の働きで呼吸運動が行われている
・腹式呼吸は特別なものではない
・息をコントロールするために腹式呼吸で発声する
・練習は短い時間でも毎日行う
・背筋が使えていないと重心が上がり、呼吸が浅くなりやすい

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。楽しく思い通りに歌えるようにボイトレしていきましょう。ではまた